星期日, 4月 01, 2007

○テッカマンブレ-ド ラダム再び編 最終話

○テッカマンブレ-ド ラダム再び編 最終話

 ラダムの人類抹殺計画、それは何とDボウイの体内にある光物質変換機能を利用してホ
ワイトホ・ルを作りだし、一気に太陽系を消滅させんとするものであった。
テックシステムを打ち破り、ラダムの侵略を未然にくいとめた人類。それは彼らラダム
にとって宇宙で最も危険な存在といえた。それ故ラダムは危険な人類を一気に抹殺すべく
今回の太陽系消失プログラムを発動させたのだ。
そしてそれを止めるには、皮肉にも素体テッカマンのアンテナとなり、今やホワイトホ
ールと化そうとしているブレードを自らの手で殺すしかない。
万策つきたフリーマン達。もはや地球を救えるのはアキしかいない。だが、そのアキは
、未だ立ち上がれないでいた。

 何とかアキに立ち上がってもらおうと頼む仲間達。だが、アキは怖い、怖いのだ。思わ
ず別室にこもってしまったアキ。ドア越しにフレイルは語りかける・・・。静かに、呟く
様に・・・。
「貴方と同じ様に今の私の手も汚れている。かつての貴方と同じように今の私にできるの
も只祈る事だけ・・。でも今の貴方には力がある。例え忌まわしい力でも、その力は貴方
の運命を切り開く事の出来る力が・・・。それを望んだのは貴方じゃなかったの、Dボウ
イを守るために、Dボウイが守ろうとしたものを壊さない為に!」
「Dボウイを・・・守る・・・・」
焦点の合わない目をしながらフラ~ッと立ち上がるアキ。ゆっくりと、ゆっくりとフレイ
ルのいるドアの方に近づいていく。
が、その時である。ブレ-ドを中心に起こる重力波による嵐で家の天井が崩れだした。
「アキさん、フレイルさん!!」
ミリ-の叫ぶ声が崩れる家の轟音に打ち消され・・・。

 アキが気がつくと、目の前にはフレイルが倒れていた。二人とも無事である。
「何故・・・・」と見ると、二人の上にはペガスが・・。その身を挺して二人を守ってく
れたのだ。が、その体は重力波から家を守ってボロボロである。
「あ、アキ・・」と言うそのペガスの声に混じってアキは聞いた。彼女の最愛の人の声
を・・・・。
「Dボウイ!!!」
そう、ペガスにインプットされていたDボウイの声が、今のショックで流れ出て来たので
あった。
「・・・・ペガス・・・、俺の最後の命令だ。今から俺はラダムの母艦に突入する。その
、最後の時まで俺を援護しろ・・・。最期まで・・・。」
Dボウイの声に涙も出さずに打ち震えるアキ。
「そして、もしもお前独りだけでも生き延びたなら・・・・、その時は守ってくれ、アキ
を・・・・・。俺にカワッテ、カワ・・・テ・・・・・。テ・・・・。」
そして、沈黙・・・・・。
アキは泣いていた、いつの間にか・・・。
自分の事など振り切って行った・・、そう思っていた。
振り切って、家族の魂を救う、それだけの為に破滅へと向かっていった・・・、そう思っ
ていた。でも、彼はその生命の最後の時にも、自分の事を思ってくれていた。
その事が悲しくて・・・、その事が嬉しくて・・・・。

そしてついにアキは立ち上がった。今こそ彼が信じられるから・・、今こそかれの全て
を愛する事が出来るから・・・。
彼のランサ-をその手に携えて、彼の最後に残された命をその手で絶つ為に・・・。
いや、愛する彼が命を賭けて守ろうとしたものを守るために・・・・。一同にさよならの
一言を残し、二度と帰らない戦いに・・・。
かくてアキとブレードの死闘が始まった。恐らくかなわないであろう戦いが・・・。だ
がブレードはアキに止めをさせない。いや刺せないのだ。ブレ-ドの中に微かに残ったD
ボウイの意思が、ラダムへの最後の抵抗を試みていた。それは、あたかもDボウイがアキ
に自らの魂を救えと言っているかの様に・・・・。
その一瞬の隙をつきアキのもつランサーが彼の胸を貫いた。
その瞬間だ!充分に育ったワームホールはブレードを離れ、その奥から赤色星を守るガ
・ディアンが姿を現す。全ては遅かったのか。地球は、Dボウイの思いは無駄となるの
か・・・。
「そうはさせない!!」
とガ-ディアンを倒すべくワームホールへの突入を決意するアキ。このガーディアンこそ
ラダムが肉体的に最も進化を遂げた時をモチーフに造り上げたモニュメント、言わば元祖
テッカマンとも言える存在であった。これを倒さねば地球は終わりだ。ペガスが、エビル
のクリスタルを胸に特殊フィールドを作りだしアキの手助けをする。ボロボロに・・ボロ
ボロになりながらもワームホールへ突入していくアキとペガス。

そしてガーディアンとアキの死闘。が、流石にラダムが最後の切り札としていたガ-デ
ィアンだ。戦いはアキの一方的に不利な状況である。
「ここまでか・・・・」そう思った時だ。ワ-ムホ-ルの中で輝く一条の光が・・・。
「あれは・・・・」
そう、ブレ-ドだ。この上ブレ-ドとガ-ディアン2体と闘う力などアキには残されては
いない。
「駄目なの・・・、いや、負けはしない。あの人の為に・・・」
迫り来るブレ-ド。構えるアキ。が、その光は、アキの横をすりぬけてガ-ディアンに突
き向かっていく。
「Dボウイ!・・・じゃあ、じゃあ・・・」

そう、これこそラダムの作ったワ-ムホ-ルが起こした奇跡であった。ワ-ムホ-ルの中
は時間の概念が通用しない。それ故に、Dボウイの神経核破壊をも無くし、正常な彼を呼
び戻したのだ。だが、これはこの中だけの事・・・。正に一瞬の逢瀬であった。そしてア
キはペガスとブレードとの合わせ技の最終兵器でガーディアンを粉砕、かくて地球は救わ
れた。戦い終わって眩しい夕日の中で・・・。
近づいてくる一同から逃げる様に去ろうとする
アキテッカマン。例えどんな理由があろうと愛する者を殺そうとしたのだ。アキは去り、
二度と戻らないつもりであった。だがそれをフレイルが止めた。
「もう、逃げる事はないわ。例え・・彼に拒絶されようと貴方は、貴方の信じる様に愛す
ればいい」
そしてアキはDボウイに近づく。脅える少女の様に・・。
固く、冷たいその手を震わせて。
「こんな・・・私でも・・・愛してもらえますか・・・」
その時だ!動かないはずの、意思の無いはずのDボウイの手が動き、アキの手に重なる。
冷たいはずの目から流れ出るのは涙?
「Dボウイ・・・・・・・・・・(首を振り)ううん、たかや」
夕日の中重なる、二つのシルエット。
そしてそれを見守る一同。貰い泣きのフレイルにフリ・マンが呟く。
「テッカマンは確かに人類にとって早すぎる危険なおもちゃかもしれない。だが、きっと
人は、それを克服する・・・・・」フレイルうなづき、
「信じます・・・・・・人の・・・強さを・・・・・・」
そして・・・・・又明日が始まる・・・・・・・。

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