星期日, 4月 01, 2007

○テッカマンブレ-ド ラダム再び編 最終話

○テッカマンブレ-ド ラダム再び編 最終話

 ラダムの人類抹殺計画、それは何とDボウイの体内にある光物質変換機能を利用してホ
ワイトホ・ルを作りだし、一気に太陽系を消滅させんとするものであった。
テックシステムを打ち破り、ラダムの侵略を未然にくいとめた人類。それは彼らラダム
にとって宇宙で最も危険な存在といえた。それ故ラダムは危険な人類を一気に抹殺すべく
今回の太陽系消失プログラムを発動させたのだ。
そしてそれを止めるには、皮肉にも素体テッカマンのアンテナとなり、今やホワイトホ
ールと化そうとしているブレードを自らの手で殺すしかない。
万策つきたフリーマン達。もはや地球を救えるのはアキしかいない。だが、そのアキは
、未だ立ち上がれないでいた。

 何とかアキに立ち上がってもらおうと頼む仲間達。だが、アキは怖い、怖いのだ。思わ
ず別室にこもってしまったアキ。ドア越しにフレイルは語りかける・・・。静かに、呟く
様に・・・。
「貴方と同じ様に今の私の手も汚れている。かつての貴方と同じように今の私にできるの
も只祈る事だけ・・。でも今の貴方には力がある。例え忌まわしい力でも、その力は貴方
の運命を切り開く事の出来る力が・・・。それを望んだのは貴方じゃなかったの、Dボウ
イを守るために、Dボウイが守ろうとしたものを壊さない為に!」
「Dボウイを・・・守る・・・・」
焦点の合わない目をしながらフラ~ッと立ち上がるアキ。ゆっくりと、ゆっくりとフレイ
ルのいるドアの方に近づいていく。
が、その時である。ブレ-ドを中心に起こる重力波による嵐で家の天井が崩れだした。
「アキさん、フレイルさん!!」
ミリ-の叫ぶ声が崩れる家の轟音に打ち消され・・・。

 アキが気がつくと、目の前にはフレイルが倒れていた。二人とも無事である。
「何故・・・・」と見ると、二人の上にはペガスが・・。その身を挺して二人を守ってく
れたのだ。が、その体は重力波から家を守ってボロボロである。
「あ、アキ・・」と言うそのペガスの声に混じってアキは聞いた。彼女の最愛の人の声
を・・・・。
「Dボウイ!!!」
そう、ペガスにインプットされていたDボウイの声が、今のショックで流れ出て来たので
あった。
「・・・・ペガス・・・、俺の最後の命令だ。今から俺はラダムの母艦に突入する。その
、最後の時まで俺を援護しろ・・・。最期まで・・・。」
Dボウイの声に涙も出さずに打ち震えるアキ。
「そして、もしもお前独りだけでも生き延びたなら・・・・、その時は守ってくれ、アキ
を・・・・・。俺にカワッテ、カワ・・・テ・・・・・。テ・・・・。」
そして、沈黙・・・・・。
アキは泣いていた、いつの間にか・・・。
自分の事など振り切って行った・・、そう思っていた。
振り切って、家族の魂を救う、それだけの為に破滅へと向かっていった・・・、そう思っ
ていた。でも、彼はその生命の最後の時にも、自分の事を思ってくれていた。
その事が悲しくて・・・、その事が嬉しくて・・・・。

そしてついにアキは立ち上がった。今こそ彼が信じられるから・・、今こそかれの全て
を愛する事が出来るから・・・。
彼のランサ-をその手に携えて、彼の最後に残された命をその手で絶つ為に・・・。
いや、愛する彼が命を賭けて守ろうとしたものを守るために・・・・。一同にさよならの
一言を残し、二度と帰らない戦いに・・・。
かくてアキとブレードの死闘が始まった。恐らくかなわないであろう戦いが・・・。だ
がブレードはアキに止めをさせない。いや刺せないのだ。ブレ-ドの中に微かに残ったD
ボウイの意思が、ラダムへの最後の抵抗を試みていた。それは、あたかもDボウイがアキ
に自らの魂を救えと言っているかの様に・・・・。
その一瞬の隙をつきアキのもつランサーが彼の胸を貫いた。
その瞬間だ!充分に育ったワームホールはブレードを離れ、その奥から赤色星を守るガ
・ディアンが姿を現す。全ては遅かったのか。地球は、Dボウイの思いは無駄となるの
か・・・。
「そうはさせない!!」
とガ-ディアンを倒すべくワームホールへの突入を決意するアキ。このガーディアンこそ
ラダムが肉体的に最も進化を遂げた時をモチーフに造り上げたモニュメント、言わば元祖
テッカマンとも言える存在であった。これを倒さねば地球は終わりだ。ペガスが、エビル
のクリスタルを胸に特殊フィールドを作りだしアキの手助けをする。ボロボロに・・ボロ
ボロになりながらもワームホールへ突入していくアキとペガス。

そしてガーディアンとアキの死闘。が、流石にラダムが最後の切り札としていたガ-デ
ィアンだ。戦いはアキの一方的に不利な状況である。
「ここまでか・・・・」そう思った時だ。ワ-ムホ-ルの中で輝く一条の光が・・・。
「あれは・・・・」
そう、ブレ-ドだ。この上ブレ-ドとガ-ディアン2体と闘う力などアキには残されては
いない。
「駄目なの・・・、いや、負けはしない。あの人の為に・・・」
迫り来るブレ-ド。構えるアキ。が、その光は、アキの横をすりぬけてガ-ディアンに突
き向かっていく。
「Dボウイ!・・・じゃあ、じゃあ・・・」

そう、これこそラダムの作ったワ-ムホ-ルが起こした奇跡であった。ワ-ムホ-ルの中
は時間の概念が通用しない。それ故に、Dボウイの神経核破壊をも無くし、正常な彼を呼
び戻したのだ。だが、これはこの中だけの事・・・。正に一瞬の逢瀬であった。そしてア
キはペガスとブレードとの合わせ技の最終兵器でガーディアンを粉砕、かくて地球は救わ
れた。戦い終わって眩しい夕日の中で・・・。
近づいてくる一同から逃げる様に去ろうとする
アキテッカマン。例えどんな理由があろうと愛する者を殺そうとしたのだ。アキは去り、
二度と戻らないつもりであった。だがそれをフレイルが止めた。
「もう、逃げる事はないわ。例え・・彼に拒絶されようと貴方は、貴方の信じる様に愛す
ればいい」
そしてアキはDボウイに近づく。脅える少女の様に・・。
固く、冷たいその手を震わせて。
「こんな・・・私でも・・・愛してもらえますか・・・」
その時だ!動かないはずの、意思の無いはずのDボウイの手が動き、アキの手に重なる。
冷たいはずの目から流れ出るのは涙?
「Dボウイ・・・・・・・・・・(首を振り)ううん、たかや」
夕日の中重なる、二つのシルエット。
そしてそれを見守る一同。貰い泣きのフレイルにフリ・マンが呟く。
「テッカマンは確かに人類にとって早すぎる危険なおもちゃかもしれない。だが、きっと
人は、それを克服する・・・・・」フレイルうなづき、
「信じます・・・・・・人の・・・強さを・・・・・・」
そして・・・・・又明日が始まる・・・・・・・。

テッカマンブレ-ド『ラダム再び』編 第3話

○テッカマンブレ-ド『ラダム再び』編 第3話
 心を持たぬブレードの復活、それはラダムの新たな侵略計画のほんの始まりにすぎな
かった。ノアルは早速ソルテッカマン部隊を出動、ブレードを阻止しようとする。けれ
ど不安の隠しきれないノアル。
“勝てるのか…?一人でラダムを退治しちまったあいつによ…」
 一方、スペ-スナイツ本部でもスクランブルの中、フレイルが一本のショックな知ら
せを受けていた。祖父が(コミュニティの長老)死んだ。しかも友達であるアレフ(少
年テッカマン)に殺されて…。そしてそのアレフはアキに!
 込み上げてくる怒りと哀しみを必死に抑え、フレイルは現在の事態を打開すべくアキ
の探索、そして祖父とアレフの解剖を提案する。驚く一同を尻目にフリーマンもその意
見に同意、フレイルと共にコミュニティに向かう。
 一方アキはペガスを駆り、逃げる様にコミュニティをはなれていた。まるで自らの犯
した罪から逃れるかのように・・・。行き先も宛もなく、只彷徨う・・・。
 復活した白い悪魔を倒すべく出動したソルテッカマン部隊。だが彼ら程度にかなう相
手では無い。あっと言う間に第一陣は撃破され、ブレードは居住ブロックへと進む。こ
のままではブレードは本当に人類の悪魔となってしまう。ノアルは医療ブロックを
ORSからブロックごと分離、被害を最小限に止めようとする。例えテッカマンでも過
去大気圏に自由落下したあとはダメージをうけていた。その効果を期待しての行動だ。
さらにノアルは自由落下中にこのブロックに新開発の超フェルミオンミサイルをぶち込
もうとしていた。「これだからいくらチーフの頼みでも軍にゃ戻りたかなかったんだ」
自らの友を自らの手で葬らねばならない皮肉に怒りすら覚えるノアル。そして呟く。
「ゆるせよ、Dボウイ!」

 一方コミュニティにとんだフレイルとフリ-マンは少年テッカマンと長老の遺体をチ
ェックするが、何故かエビルの遺体や異星人テッカマンの時の様にラダム虫の存在が確
認出来ない。これによりフリ-マン達は今回の少年の発狂がラダム虫と関係無く、むし
ろ同時刻に異変を起こしたブレードに関連があると結論付ける。だが、そのとき基地か
らの報告でノアルの作戦をしったフリ-マンは焦る。発狂のカギがブレードだとすれば
、今彼に余計な刺激を与える事は危険だ。
「いかん!今ブレードに余計なエネルギーをあたえては!」
だが、一足おそかった。ミサイルのエネルギーをすいとったブレードは激しく光り、そ
して・・・・・。
その瞬間にコミュニティの悲劇が全世界規模でよみがえった。ブレードを一種のアン
テナにして全世界の素体テッカマンが一斉に発狂、一大暴動がおこったのだ。地上で、
ORSで、月で、全太陽系規模でDボウイの悲劇がおこりつつあった。
そう、これこそがラダムがDボウイをつけねらった理由だったのだ。
ラダムの今回の目的は征服でなく全人類抹殺だったのだ。ラダムは人類がテックシス
テムを破った事を知り、それにより人類が逆にテッカマンのノウハウを盗んで彼らの母
星に攻め込んでくるのではないかと恐怖を感じた。そしてそうなる前に対抗策として人
類抹殺プログラムのはいったクリスタルをDボウイの体に植え込み、それがついに発動
したというのだ。

そしてコミュニティでも、フリーマンとフレイルが発狂した素体に追われ危機にさら
されていた。エアバイクで必死に逃げまどう二人。。
その間もDボウイは地上へと落下していく。衛星軌道を回転し、地上へ、地上へ。
一方、スペースナイツ基地では、ペガスの反応をDボウイとアキがかつて住んだ浜辺
の家から探知した。だがフリーマンとは音信不通、ノアルに連絡する。その報告を聞き
ノアルはあわてた。Dボウイが今の軌道で落っこちていけばその近郊に落下するのだ。
そうすればアキと鉢合わせ、下手すれば二人で戦うはめにおちいる。自らの失策が招い
たこの問題にノアルは自らの出撃を決意する。
「アキにDボウイを殺させる様な真似はしない!殺すなら俺自身の手で!」
そしてそれを知ったミリーもブルーアースでチーフ探索に向かう。
一方、ジャングルを逃げまどうフリーマン達。危うし!
その頃アキはDボウイと二人で過ごした海辺の家にたどりついていた。世界中で起き
ている危機もしらず。愛する者に迫り来る危機も知らず。只、幸せだった頃の夢に浸り
…。二人のようやく手に入れた筈の安住の場所で・・。アキの目にそんな二人の生活が
よみがえる。一人テラスで佇むアキの寂しい姿・・。だが、危機はそんな彼女にも確実
に迫りつつあった。

一方フリーマンとフレイルは最大のピンチに陥っていた。乗っていたエアバイクも破
壊され、素体テッカマン達に囲まれてしまったのだ。囲む彼らのほとんどをフレイルは
知っていた。だが今の彼らは・・・。恐怖におののくフレイル。そして飛び掛かる彼ら
に、フレイルは思わずラダムニ・ドル銃を発射した!吹っ飛ぶ素体テッカマン。
だが、彼らは恐れもせず次々と襲い来る。危うし!
そのときだ!上空からミリーのブルーアースが救援に駆けつけ、干渉スペクトルを浴び
せる。間一髪救出される二人。
浜辺の家で独り、幸せな日々を思い起こすアキ。だが戦いの渦はそんな彼女を逃しは
しなかった。発狂したテッカマンがここにも押し寄せてきたのだ。ラダムの呪いが、二
人の思い出を壊し去っていく。だがアキは、前回の少年テッカマン殺しの痛手からまだ
回復していなかった。
“もう、誰も殺したくない。何もしたくない”
アキは無抵抗のまま素体テッカマンに殺されようとしていた。迫る素体の凶刃・・。
その時だ、空からDボウイが降ってきたのは。
海に激突したショックで激しい水柱が上がる。その地響きで間一髪、素体の凶刃はアキ
を逸れた。いや、素体テッカマンはまた立ち上がってくる。そしてアキに向かい、その
首を締めて、締めて、、、、、。
全てが真っ白になっていく。
遠くでDボウイの声が聞こえる様な気がする。だが・・・・・。

 ふっと素体テッカマンの力が抜ける。そして倒れつつテックセットアウトする素体テ
ッカマン。その後ろに銃を持ち、立つシルエットは・・・・フレイル、そしてミリー。
ブルーアースでたどりついたのだ。自らが負うべき試練からあくまで逃げようとするア
キに怒りのフレイルは無理やりテラスにアキを引っ張って行き、ノアルとブレ-ド死闘
を見せつける。
目の前で愛する者と友人が闘う様を・・・。
「やめて~~~~~っ!」
今やブレードを中心に全世界はパニック状態だ。素体テッカマンの暴動は今も数多く
のDボウイを作っている。そう、素体テッカマンの中には知らない内に肉親や兄弟を殺
している者もおろう。
「私も殺したわ、友達をこの手で!それでも貴方は逃げるの?どこへ逃げるの?逃げ
れるものならいくらでも逃げるがいい。けれど、逃げた先で貴方は見るのよ、数多くの
Dボウイたちを!」
と、無気力なアキをフレイルは責めつける。だが、アキはまだ・・・・・。
ノアルはついに最期の賭けにでた。大気圏突入の際に破損した肩のボルテッカ発射口
にソルテッカマンのエネルギーを暴走させ放り込み、内部で対消滅を起こさせ、破壊
しようというのだ。ノアルは機体ごとブレードにしがみつき、自爆させた(もちろんノ
アルは脱出していますよ)。そして大爆発・・・・。
アキの目の前に落ちてくるランサー。だが、Dボウイは・・・。
無事どころかブラスター化したブレードは異空間をつくりだす。それは・・・・

ついにラダムの人類抹殺計画の全てがベールを脱いだ。心を持たぬブレ-ドを中心に
現れたのは・・・・・なんとワームホール!
Dボウイ自身が一種のホワイトホールとなってその異空間の奥から地球を破壊すべく赤
色星を出現させようとしている。これが出現すれば地球は、いや太陽系自体が消滅する

今や人類の運命は風前の灯火だ。果して人類の運命は・・・。そしてアキは復活を遂
げることができるのか。

テッカマンブレ-ド 2年後バ-ジョン「ラダム再び」編 第2話

○テッカマンブレ-ド 2年後バ-ジョン「ラダム再び」編 第2話

 自分の研究室でアキが倒した異星人テッカマンの解剖をするフリーマン。その目の前
で異星人テッカマンの体からラダム虫が飛び出す。間一髪、手術用レ-ザ-で難を逃れ
るフリ-マン。
「こ、これは!まさかこれがラダムの正体?」おののく彼の眼前で不気味に蠢くラダム。
ラダムの異星人テッカマンによる攻撃からはや一ヵ月・・。だがあの時ORSから去
ったアキの行方は依然としてわからなかった。
一方フレイルは、Dボウイの状態をモニターする内に、一冊の日記を見つける。それ
はアキの…。思わず目をやるとそこには“淋しい、淋しい”の連呼が…。フレイルは眉
をひそめ、そして呟く、いくじなしと・・・・・・。
深い、深い森の間から、巨大な都市の死骸が覗く。まるで文明そのものを覆い尽くす
かのように広がる原生林・・・。そこにアキはいた。
今や宇宙開発のエリートともいえるテッカマン。だが彼らは強制的にテッカマンにさ
れたのであって自ら望んでなったわけでは無い。全てのテッカマンがこの新時代に順応
出来たわけでもない。『過ぎたる科学は悲劇をもたらす』とした者達を中心に、
自然生活を営むコミュニティを形成していた。
Dボウイに拒絶されてしまった傷心のアキにとって、ここの生活は安らぎであった。
幼くしてテッカマンになってしまった少年と知り合い、遊ぶ日々・・・。少しずつ、ア
キの心が安らいでいく。

 一方フリーマンは、前回の異星人テッカマンによる地球攻撃に釈然としない物を感じ
ていた。二年前のラダム戦役に比べ、今回の攻撃は余りにも呆気なさ過ぎるのだ。その
上ラダム虫の発見によりフリーマンはラダムの前回の侵略目的が、ラダム人の地球移住
にあった事に気付いた。ならば今回の攻撃は尚更のこと納得のいかないものである。そ
れはまるでやられる事を想定したかのような・・・・。そして何より、Dボウイを狙っ
たのは何故か・・・・。
コミュ-ンの人達との質素な生活、リ-ダ-の老人はアキに何があったのかも聞かず
、優しく諭す。
「心の追いつかない急激な科学の進歩は悲劇をもたらす・・・・。だが、人類にはどん
な悲劇をも乗り越えるだけの強さがきっとある・・・。あんたにも、きっとな・・・。

一方フレイルは疲れて、うつらうつらと眠っていた。そんな彼女がハッと目が覚める
とDボウイの呟きが聞こえる。“ア、アキ”と…。
「どうして?貴方、アキに見捨てられたのよ。アキは貴方の事を放って、貴方が最も嫌
うテッカマンになってしまったのよ。なのにどうして!どうしてあの人の名前なんて呼
ぶの?どうして?」二人の見えない絆を見せつけられた様で、そしてDボウイが
哀れに思えてイラだつフレイル。
そんな時であった。Dボウイの体からいままで見たこともな異様な光が・・・。

 突然、少年テッカマンが発狂した。それはまるで、Dボウイの異常に呼応したかの様
に・・・・。回りのテッカマンたちも素体にテックセットして止めようとするがまった
くきかない。その姿はまるで本編でのブレードの様である。
かくて、平和だったコミュニティは阿鼻叫喚の坩堝と化していく。
一方Dボウイは急いで医療センターに運ばれるが、原因は掴めない。謎の光を発しつ
つ苦しむDボウイ。
次々と少年テッカマンに倒されていくコミュニティの人々。
「やめて、もうやめて~~~~~っ!」
必死のアキの叫びも耳には届かない。アキにはこの虐殺がDボウイの肉親殺しに重なっ
て見えるのだ。その時だ、コミュニティの長老が叫んだ。
「いかん!」と・・。
 少年テッカマンの進む先に旧暦時代の核施設跡があるというのだ。もしもここが破壊
されればコミュニティどころか半径数百┥が汚染してしまうと言うのだ。慌てて素体に
なり、止めにはいる長老。が少年はその老人をも一刀のもとに殺してしまう。
「いやあ~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!」
絶望の叫びと共にテックセットするアキ。ジャングルを舞台にアキと少年テッカマン
との壮絶な死闘がくりひろげられる。それはまるで森を行く忍者同志の戦いの様だ。
哀しき戦いのなかでアキは自らと少年の姿が、ブレードとエビルの姿に重なって見え
る。

「何故、何故貴方は戦えたの?こんな哀しい戦いを・・・・。何故、何故!」
だが、殺さねば多くの人達が危ない!核施設はもう目前だ。
「許して~~~~~~~~~っ!!」
悲鳴にも聞こえるアキの叫びがジャングルにこだました。
そして・・・・・・・・・・・・・。
アキは泣いた。少年の亡骸を抱きつつ・・・。自らの行ってしまった行為に・・。も
う戻れない宿命の海へ自ら漕ぎだしてしまった事に気づき・・・。
その頃フリーマンは、Dボウイのチェックをして気づいた。彼の体の中に第二の、謎
のクリスタルが有ることに・・・。
「い、いかん!」
次の瞬間、Dボウイの中で何かが発動した。異常な高熱を発し、暴走するDボウイの
体。そのエネルギーは建物をも破壊し、慌てて脱出するミリーやノアル達・・・。崩れ
落ちる医療センター、その中でDボウイは心をもたぬブレードにテックセットした!
「これだ!これがラダムの目的だったのだ!」
ついに心をもたない白き悪魔が蘇った。そして絶望のどん底にいるアキは、そしてノ
アル、ミリーは。ラダムの新たなる計画は着実に人類を絶望の淵へと追いやっていく。
果して、人類の運命は・・・・・・。

宇宙の騎士テッカマンブレード 幻の2年後バ-ジョン 「ラダム再び」編 第1話

○テッカマンブレ-ド 幻の2年後バ-ジョン 「ラダム再び」編 第1話
連合地球暦193年2月2日、ラダムの母艦はDボウイの捨て身の戦いによって崩壊
しその侵略も幕を閉じた、いや閉じたはずであった。だが・・・・。
ラダムによってフォ-マットされてしまった素体テッカマン達がフリ-マンの尽力に
より蘇生、その後宇宙開発や地球の復興の先兵として今や彼らは人類にとって無くては
ならない存在になった。
ふと仕事の手を止める声の持ち主、スペ-スナイツの新隊員Dr・フレイルである。
その15~16歳に見える顔の幼さとは裏腹に、目下フリ-マンとテックシステムの共同研
究を進めるやり手の天才科学者である。
“テッカマンか・・・・”
カ-テンを開け窓外を見るとここは何とORS・・。そう、スペ-スナイツはその本部
を地球の行政機関と共に、ORSに移していた。
 そんなORSの窓から見えるのは素体テッカマン達の働く姿。今や宇宙開発のエリ-
トとも言える彼らテッカマン。が、そんな彼らを見るフレイルの目は複雑であった。
“確かにテッカマンは地球を守った英雄だ。けれど人類は本当にテッカマンという存在
を気軽に受け入れて本当に良かったのだろうか・・”と。
その頃遠くの宇宙では・・・。猛スピ-ドで進む隕石群があった。その隕石は・・ま
るで生きているかの様に脈動しつつ進む、進む・・・・地球を目指して。
ORSの医療セクションの一室…。二つのケ-キ、二つの椅子、二人の影、けれど誕
生日を祝う声は一人・・・。
静かな…静か過ぎる22歳の誕生日……。愛する者はいる、平和な日々もある、だけ
どここに愛される喜びは無い。
アキはDボウイとの日々に疲れ始めていた。
“誰も、誰も何にも判っちゃいない!”
皿ごとケ-キを払いのけるアキ。その皿が鏡を直撃し、ひび割れる。鏡の一つ一つに写
るアキの顔は泣いている様に見えた。

 一方、金星の開発基地では・・・、突然のスクランブルが掛かっていた。太陽の黒点
現象により、謎の隕石群が接近していることに気づくのが遅れたのである直ちに発進す
る金星駐留のソルテッカマン部隊。だが・・。
その瞬間である、反応一つしなかったDボウイが突然悲鳴をあげて暴れ出したのは…
まるで何かに怯える子供の様に暴れるDボウイ。その額が感応に光る。
Dボウイの感応と時を同じくして突然隕石は姿を変えた。その瞬間ソルテッカマン達
の見たものは・・・・・異形のテッカマン、異星人テッカマンであった。一瞬の内に全
滅する金星の基地。
「テッカマンだ!ラダムが再び攻めてきたのだ!」
フリ-マンからの情報によると、Dボウイの感応によりテッカマンの接近は明らかな
事実のようだ。そして、今までの研究によりテッカマンはラダム人そのものでは無いこ
と、よって現在接近中の生命体は過去にラダムによって征服された異星人のテッカマン
であることが告げられる。今回のDボウイの異常な感応の仕方もそれに起因するもので
あろう、と。
つまり、Dボウイの今回感応した相手はまったく精神構造の違う異星人だ。そんな生
命体の剥き出しの心と感応するのは、彼に相当の苦痛であろう、と言うのだ。そしてこ
の感応が続けば、Dボウイの弱った精神と体では二日ともたないで有ろう、と・・・・
「あんな思いをして……、あれほどの思いをしてようやく手に入れたちっぽけな安ら
ぎ。だがラダムは……、それさえも私から奪い去ろうというのか」
この事を知ったアキは無力さを噛みしめていた。かつてのDボウイの戦いの時の様に
、今回も自分には祈る事しか出来ないのか。彼に残されたたった一つのものが、
命すらが奪い去られようとしているというのに……。
考えこむアキにフリ-マンは、地球製のフォ-マットによるテッカマンを作るという
計画をもらす。真先に志願するアキ。がフリ-マンはとめる。この実験はまだ未完成で
成功確率も低いからだ。その為フリ-マンは自らをモルモットに
するつもりだったのだ。
それでもと必死に講うアキ、がフレイルはそんなアキを安っぽいヒロイズムと
しかりつける。
テックシステムへ足を運ぶフリ-マン。が、その時だ!
 一発の銃弾がチ-フの足元に炸裂する!
「下がってください、チ-フ!」
どうしても、どうしてもDボウイの苦しみをみていられなかったのだ。
そんな手前勝手な理屈でテッカマンになろうとするアキにフレイルが叫ぶ。
「偽善者!」
「何とでも言って!例え1%でも、0・1%でも…Dボウイを(この手で)助けられる
可能性が有るのなら!」
人を呼びアキを取り押さえようとするフレイルを銃で止め、アキは装置を作動した。

 そのころ、軍本部で異星人テッカマンの目標コ-スが地球突入からORSの医療セク
ションへと変わったとの報告が入る。先発隊の目的がDボウイだと気づいたフリ-マン
は、直ちに彼の避難を要請、ラダムによるDボウイ再洗脳の可能性に気づいたのだ。ア
キがテックシステムからでてくるにはあと6時間は必要だ。ミリ-はさっそくDボウイ
を連れて逃げる。そしてそれを追う異星人テッカマン。更にそれを迎撃せんとするソル
テッカ部隊。かくてORSを舞台に市街戦がくりひろげられる。
ノアルも新型ソルテッカマンに載って出動、なんとか第一陣は倒す。その間にミリ-
たちはスペ-スポ-トに到着。Dボウイをブル-ア-スにのせて脱出させようとするが
、そこで第二陣の出現だ!が、第二陣はなんと群体生物!バラバラになった異星人テッカ
マンがソルテッカマンに張りつき、次々と自爆していく。その間に残りが対に
ブル-ア-スに突入、ついにDボウイも捕まった。
危うし、Dボウイ!
その時だ!光一閃、異星人テッカマンを真っ二つにしたのは・・・・・!
赤いテッカマン!アキである。
かくて異星人テッカマンは全滅したのだが・・・。戦いすんで、Dボウイの前にやっ
てきたアキを待っていたのは・・・・・・、Dボウイの恐怖に怯える顔。今のDボウイ
にとってアキは只のテッカマン、そしてそれは彼にとっては恐ろしいもの以外の何者で
もない。
「いや~~~~~~~~~~~っ!」
そしてアキは逃げた、絶望の叫びをあげながら・・・。
“何の為にテッカマンになったの、誰の為にテッカマンになったの、なのに・・・。何
故、何故、何故!”
そして異星人テッカマンを撃退したにもかかわらず、不安げなフリ-マン。
「あまりにも簡単すぎる。ラダムの真の目的は一体・・・・。」
かくて、各自の不安と絶望を乗せ、時は再び回り始める・・・。新たなる時が・・・